対象期間:2026年7月~
本ステーションでは、厚生労働省が定める「特定行為に係る看護師の研修制度」を修了した特定行為看護師が、医師の手順書に基づき、以下の特定行為を実施しております。今月の実施状況をご報告いたします。
■ 実施件数サマリー
| 特定行為の種類 | 実施件数 |
| 侵襲的陽圧換気の設定の変更 | 1件 |
| 非侵襲的陽圧換気の設定の変更 | 1件 |
| 気管カニューレの交換 | 1件 |
| 胃ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換 | 1件 |
| 褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去 | 4名(21件) |
| 脱水症状に対する輸液による補正 | 3名(5件) |
当ステーションでは、特定行為研修を修了した看護師が、医師の手順書に基づき「褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去」を実施しています。今回は、踵部(かかと)に生じた褥瘡・糖尿病壊疽への対応事例をご紹介します。
症例患者の概要
70歳代 男性
疾患:糖尿病(糖尿病腎症によりシャント造設)
部位:右踵部、左踵部
褥瘡の状態:褥瘡形成から糖尿病壊疽の合併から疽壊死組織を伴う創部が確認され、創縁・創底の観察および洗浄、壊死組織の除去(デブリードマン)を実施しました。
【介入頻度】週3回:日曜日・火曜日・土曜日
## 処置の経過
医師の手順書に基づき、全身状態・バイタルサインに異常がないこと、褥瘡部および周辺皮膚の状態を確認したうえで、壊死組織の除去と創部洗浄を行いました。処置の過程では、専用の測定シートを用いて創のサイズや深さを記録し、DESIGN-R2020分類による経過評価を継続的に行っています。
在宅の現場では、訪問診療の頻度に限りがある中で、創傷の変化は日単位で生じます。特定行為研修を修了した看護師が定期的に評価・処置を行うことで、医師と看護師がタスクを分担しながら、迅速かつ継続的な創傷管理につなげています。処置後は速やかに担当医師へ報告し、安全性の確保に努めています。
処置の内容
使用外用剤:スルファジアジン銀製剤(ゲーベンクリーム)、カデキソーマ製剤(カデックス軟膏)、白色ワセリン(プロペト)
■ 実施の様子(写真)
褥瘡ケアの経過(DESIGN-R®2020評価)
左踵部
| 7/22 | 7/25 | 7/26 |
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| DU―e3s9I3G6N6P6=33点 | D3―e3s9I3G5N6P6=32点 | D3―e3s9I3G5N6P6=32点 |
| 7/28 | 8/1 | 8/2 |
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| D3―e3s9i1G5N6P6=30点 | D3―e3s9i1G4N3P0=20点 | D3―e3s9i1G4N3P0=20点 |
右踵部
| 7/22 | 7/25 | 7/26 |
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| DU―e3s9I3G6N6P9=36点 | D4―e3s9I3G5N6P6=32点 | D4―e3s9I3CG4N6P6=31点 |
| 7/28 | 8/1 | 8/2 |
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| D4―e3s9I3CG4N6P6=31点 | D4―e3s9I3CG4N3P6=28点 | D4―e3s9i1g3N3P6=25点 |
左踵部 DESIGN-R®2020評価 介入時: 33点 → 8月2日時点: 20点
右踵部 DESIGN-R®2020評価 処置前: 36点 → 8月2日時点: 25点
■ 経時的変化による対応
初回訪問時、踵部の状態を確認するとカデキソーマ製剤の残存があり、洗浄不足から過乾燥・角質硬化が著明であり鋭匙にて製剤除去を実施。また、可能な限りデブリードマンを行い、除去可能部と今後の方向性を確認。過乾燥、黒色壊死組織の軟化を図るため、外用剤の変更が望ましく、スルファジアジン銀製剤へと変更し、訪問毎のメンテナンスデブリードマンを実施していくこととした。
■ 家族へに説明
カデキソーマ製剤の残存による弊害を伝えるとともに洗浄方法を指導。浴室での水圧除去に加え歯ブラシ等を使用したブラッシング法を依頼した。
■ 日々の評価
TIME理論にて評価実施
以下、一回の訪問時の記録引用
TIME理論にて評価実施。膝窩動脈、後脛骨動脈共に触知弱ではあるが、両側ともに拍動確認。
両踵部:スルファジアジン銀+ガーゼ+メッシュケア+伸縮包帯
【T:Tissue(組織)】
左踵部:黄色調スラフが優位であり、増殖期への移行の妨げとなるため、デブリードマンにて表層全周の壊死組織を除去。深さは皮下組織までに留まっている様子。全ての壊死組織を除去は困難であるため、残存部は軟化を進めた後、壊死組織残除去を行っていく。
右踵部:右創底は一部黒色壊死組織を認め、周囲は黄色壊死組織の形成が見られている。黄色壊死組織は除去可能であったが黒色壊死組織は軟化後除去を行っていく。
両創底ともに創周囲には乾燥・硬化しており、良性肉芽は10%未満であるため、引き続きデブリードマンにて肉芽増殖環境を整えていく。
【I:Infection / Inflammation(感染・炎症)】
創周囲の発赤・熱感・腫脹の増悪は認めず。臭気・浸出液は改善あり、感染所見は著明に改善。浸出液少量のためスルファジアジン銀製剤を塗布とした。
【M:Moisture(湿潤環境)】
洗浄不足によりカデキソマー製剤が皮膚に残存しており、鋭匙にて除去。また、残存ヵ所は浴室で水圧洗浄・ブラッシングにて除去。ガーゼ、モイスキンパッド伸縮包帯でやや加湿状態になる可能性あり、浸出液が多い場合は再包交を家族へ依頼した。
【E:Edge(創縁)】
健常皮膚との境界は比較的明瞭。しかし、創縁は壊死組織・角質硬化があり、肉芽増殖の妨げになるため、創縁のメンテナンスが必要と考えられるため創底の状態と合わせて除去を進めていく。創縁部の除去を進めていく必要があるが、出血リスクが高いことや糖尿病壊疽による血流不足から虚血の進行、感染拡大リスクが高いため、様子見としていく。
TIME理論にて評価することで、現状の課題、介入の方法が明確に共有できます。
■ 安全管理・医師との連携について
特定行為の実施にあたっては、事前に作成した手順書および医師の包括的指示に基づき、患者様の状態を慎重に確認したうえで行っております。実施後は速やかに担当医師へ報告し、安全性の確保に努めております。
■ お問い合わせ
特定行為に関するご質問・ご相談は、担当看護師またはステーションまでお気軽にお問い合わせください。
株式会社AcuLia アキュリア訪問看護ステーション











