訪問看護で「特定行為ができる」とは?
在宅医療における新しい看護のかたち
在宅医療において、「特定行為ができる訪問看護ステーション」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
では、特定行為とはどのようなもので、在宅療養にどのようなメリットがあるのでしょうか。
今回は、訪問看護における特定行為についてご紹介します。
特定行為とは
特定行為とは、あらかじめ医師の指示(包括的指示)のもと、一定の研修を修了した看護師が実施できる医療行為です。
これにより、患者様の状態に応じて、タイムリーな対応が可能となります。
在宅医療で求められる理由
在宅療養では、病院のように常に医師がそばにいるわけではありません。
そのため
- 急な体調変化
- 夜間・休日の対応
- 状態悪化の早期介入
といった場面で、迅速な判断と対応が求められます。
特定行為が可能な訪問看護師が関わることで、こうした課題に対応しやすくなります。
具体的にできること
特定行為研修を修了した看護師は、以下のような対応を行うことができます。
- 脱水や低血圧に対する輸液管理
- 創傷や褥瘡の評価と処置
- 呼吸状態の評価と対応
- 症状に応じた医師への迅速な報告と連携
これにより、患者様の状態変化に対して、より柔軟な対応が可能になります。
在宅療養の安心につながる
特定行為が可能な訪問看護は
- 入院の回避
- 在宅療養の継続
- ご家族の安心感の向上
につながる可能性があります。
特に医療依存度の高い方や終末期の方にとっては、大きな支えとなります。
当ステーションの取り組み
当ステーションでは、特定行為研修を修了した看護師が在籍し、医師と連携しながら在宅医療を支えています。
日々の観察から状態変化を早期に捉え、必要な対応を迅速に行うことで、安心して在宅生活を送っていただけるよう支援しています。
3月の特定行為介入
特定行為看護師による在宅褥瘡管理
【症例報告】
特定行為看護師が関与したデブリードマン後の創部改善経過、継続看護中
2/27~3/28 経時的変化

3/4

3/16

3/28

■ 全体所見
- 部位:仙骨〜殿裂部
- 広範囲に色素沈着(黒〜褐色)
- 創面は不整形で多発性のびらん・潰瘍
- 周囲皮膚:浸軟あり(白色調)
■ 深達度(推定)
・広範囲d2、赤○部D3〜D4疑い(深部組織損傷含む)
- 表層のピンク(肉芽様)部分あり
- 小潰瘍が点在 → ポケット化の可能性は低いがリスクあり
■ 組織評価(Tissue)
- 黒色壊死(eschar)混在→日々のデブリードマンにて除去
- 黄白色スラフあり→メンテナンスデブリードマン、洗浄による除去
- ピンク肉芽形成部あり(再生傾向)
■ 感染・炎症(Infection)
創周囲に発赤、腫脹、熱感、悪臭などの炎症所見は認めない。現時点で明ら
かな局所感染は否定的
■ 滲出液(Moisture)
- 浸出液少量
- 殿裂部周囲皮膚に浸軟(白色化)
- 3/16まで訪問時、痂皮形成あり→ラップ療法導入
- ラップ療法導入後から、概ね湿潤環境が維持され、痂皮消失。殿裂部のみ浸軟傾向のためプロペト塗布後にて開放管理とし 、湿潤環境の是正を図った。
■ 創縁(Edge)
- 創縁は一部不整を認めるものの、全体として収縮傾向を示している。創面の過半は増殖期からリモデリング期への移行が示唆される
DESIGN-R評価
| 評価項目 | 2/27 | 3/28 |
|---|---|---|
| D:深さ | D3 | D3 |
| E:滲出液 | e1 | e0 |
| S:大きさ | s9 | s6 |
| I:炎症・感染 | i0 | i0 |
| G:肉芽 | g3 | g0 |
| N:壊死組織 | N3 | n0 |
| P:ポケット | p0 | p0 |
| 合計点 | 16点 | 6点 |
介入時より、明らかな改善を認めている。
褥瘡部管理だけでなく、訪問時リハビリテーション、栄養状態管理、血糖管理を並行して行うことで褥瘡悪化なく治癒が進んでいる。
まとめ
在宅医療において、特定行為は「より安全で質の高い看護」を実現するための重要な役割を担っています。
訪問看護師が専門性を活かし、医師、看護師と連携しながら支援することで、患者様とご家族の在宅生活を支えることができます。