
特定行為看護師による在宅褥瘡管理
【症例報告】
特定行為看護師が関与したデブリードマン後の創部改善経過
― DESIGN-R評価による客観的評価 ―
褥瘡発生日:11月初旬
本症例は、褥瘡に対し特定行為研修修了看護師が医師の指示のもとデブリードマンを実施し、その後の創傷管理を継続したケースである。
創部状態はDESIGN-Rを用いて定期的に評価し、経過を追跡した。日々の記録はTIME評価実施中。
仙骨部に褥瘡発生後、自宅で家族による褥瘡ケアを行っていたが拡大傾向のため、訪問看護介入開始となった。
創傷管理の方法
訪問時は以下のケアを実施しました。
- 創部洗浄
- 壊死組織の除去(メンテナンスデブリードマン)
- 外用剤の塗布、選択
- 多職種、家族への情報共有
また、日々の創傷評価はTIMEの概念を用いて評価しました。
褥瘡におけるデブリードマンの目的
褥瘡創面において壊死組織が残存すると、以下の問題が生じます。
- 細菌増殖の温床となる
- 創傷治癒の遅延
- 浸出液増加
- 感染リスク増大
そのため、壊死組織を除去し、健常肉芽が増殖できる創環境を整えることがデブリードマンの目的となります。
1/26 デブリードマン後

2/4 評価

介入時期よりDESIGNーR悪化なし。
尾骨部周囲に辺縁不明瞭ながらも、創面収縮は見られている状態。上皮形成に向けて改善しているが、三ヵ所ににおいて創面残存。
リハビリ時による摩擦の影響もあるため、リハビリ前後にはプロペト塗布にて予防を行う必要を提案。
訪問時は痂皮を洗浄除去またはメンテナンスデブリードマンにて除去を実施。
リハビリ前の軟膏塗布量

2/14評価

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TIME評価による創傷アセスメント
T:Tissue(組織)
創面に対して必要時デブリードマンを実施。
処置時、点状出血を認め、血流を伴う健常肉芽の増殖を確認。創面は縮小傾向であり、現在は約3×5cmまで改善しています。
創面は増殖期(Granulation phase)にあると判断しました。
肉芽形成促進を目的に
プロスタンディン軟膏を外用しています。
創の成熟度に応じて、今後は
アクトシン軟膏への切り替えも検討しています。
I:Infection / Inflammation(感染・炎症)
創周囲皮膚に
- 発赤
- 腫脹
- 熱感
- 悪臭
などの局所感染徴候は認めませんでした。
ガーゼには排膿付着を約1/4程度認めましたが、
- 排膿量の増加なし
- 全身状態の悪化なし
以上より、感染拡大は否定的と判断し、経過観察としています。
M:Moisture(湿潤環境)
創部は適切な湿潤環境を目標とし、外用剤使用。
しかし、
- 12時方向
- 4時方向
- 8時方向
に痂皮形成と乾燥を認めました。
これは上皮遊走阻害因子となるため、
- 創部洗浄
- 外用剤塗布
を実施し、湿潤環境の再構築を行っています。
E:Edge(創縁)
創縁は尾骨周囲に一部不整を認めますが、創全体としては縮小傾向です。
創面の50%以上が増殖期からリモデリング期へ移行していると考えられます。
一方で、
- 皮膚菲薄化
- 摩擦による表皮剥離
を一部に認めました。
リハビリ継続中のため完全な摩擦回避は困難であり、
外的ストレス軽減を目的に皮膚保護剤を使用しています。
訪問看護における褥瘡管理のポイント
在宅の褥瘡管理では
1️⃣ 創傷評価の統一
2️⃣ 湿潤環境の維持
3️⃣ 摩擦・圧の管理
4️⃣ 外用薬の適切な選択
が重要になります。
特にTIME評価は、
訪問看護でも実践しやすく、創傷状態を整理して判断するための有用なフレームワークです。
DESIGN-R評価
| 評価項目 | 1/26 | 2/27 |
|---|---|---|
| D:深さ | D3 | D3 |
| E:滲出液 | e3 | e1 |
| S:大きさ | s9 | S9 |
| I:炎症・感染 | I0 | I0 |
| G:肉芽 | g3 | g3 |
| N:壊死組織 | N3 | n0 |
| P:ポケット | p0 | p0 |
| 合計点 | 18点 | 13点 |
壊死組織の消失と滲出液の減少が確認され、創部環境の改善がみられました。
また、ご本人、家族からも治癒に向かっていることに喜びの声が聞かれています。
在宅医療における特定行為の意義
在宅では、限られた訪問日数、時間の中での褥瘡管理は迅速な壊死組織除去と創傷管理が重要になります。
特定行為研修修了看護師が関与することで
- 在宅での早期処置
- 創傷治癒環境の改善
- 自ステーションスタッフの知識、技術向上
- 医療機関受診の負担軽減
- 利用者、家族の安心感
- 医師の負担軽減
といったメリットが期待されます。
まとめ
訪問看護における特定行為は、在宅医療の質向上に大きく寄与します。
当ステーションでは、今後も在宅で実践できる看護の高度化、自宅療養の安全性を目指していきます。